YOSHIDA keiko Illustration

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前回のつづき

 

とにかく、私が初めて依頼をうけたお仕事ですから、

自分が後悔しない仕事をしようと思いました。金・土・日はフル回転です。

 

時間を目一杯頂いたのですから、クオリティの保証だけは何が何でも外せません。

そのとき、美大での経験が頭をよぎりました。

時間が沢山あると、あれもいいなこれもいいな、と自分にできないことまで想像が膨らむのです。

そうして想像と現実(実力)の間で苦しむことになり、「あれだけ時間があったのに、これ?」

という作品を作ってしまうのです。

この学生時代の苦い経験を肝に銘じて、仕事に取り掛かりました。

 

仕事机の前の壁に、今回挿絵をつける文章(テキスト用紙)を貼って、

テキストを見て→自分の描いたイラストを見て→テキストを見て→イラストを見て・・・

というように、何回もこの動作を繰り返したのを今でもよく覚えています。

そして、自分の答えで応えているか。これを何度も確認しました。

 

そうやって完成させ、イラストを出版社に郵送しました。

担当デザイナーの方から電話があり、大変喜んでくれて、本当にほっとしました。

それからしばらくしてイラストが掲載された雑誌を頂き、

イラストとともに自分の名前を見つけた時が、一番感慨深かったです。

 

そしてこの経験が、次のお仕事(表紙の仕事)に繋がりました。

私が目標としていていた装画のお仕事です。同じデザイナーの方が声をかけてくださいました。

仕事を貰うきっかけは、自分ではどうにもできませんが、

もし仕事をしたら、その仕事が宣伝をしてくれます。

必ずどこかで誰かが見てくれています。